文学とVMD |『檸檬』から学ぶディスプレイ・デザインのヒントその2
こんにちは!
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
昨日、『文学とVMD |『檸檬』から学ぶディスプレイ・デザインのヒント』と題した記事を書きました。
梶井基次郎の短編小説『檸檬』にでてくる一節から、“見やすい陳列の基本”を感じる部分があったからです。
この小説にはまだまだVMD面で気づきになる部分があるんですよ。
ライティング効果とハンギングの集積
しかしその家が暗くなかったら、あんなにも私を誘惑するには至らなかったと思う。もう一つはその家の打ち出した廂なのだが、その廂が眼深に冠った帽子の廂のように――これは形容というよりも、「おや、あそこの店は帽子の廂をやけに下げているぞ」と思わせるほどなので、廂の上はこれも真暗なのだ。そう周囲が真暗なため、店頭に点けられた幾つもの電燈が驟雨のように浴びせかける絢爛は、周囲の何者にも奪われることなく、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ。裸の電燈が細長い螺旋棒をきりきり眼の中へ刺し込んでくる往来に立って、また近所にある鎰屋の二階の硝子窓をすかして眺めたこの果物店の眺めほど、その時どきの私を興がらせたものは寺町の中でも稀だった。
(梶井基次郎 『檸檬』より)
VMD面でみると・・・
しかしその家が暗くなかったら、あんなにも私を誘惑するには至らなかったと思う
『檸檬』の中に出てくる上記のような記述。
これは店舗のVMD面で見ると次のようなことが言えます。
環境が暗いからこそ明かりが映える
店舗の中でそんな一角を作ってみる
例えばショーウインドウの床や壁を黒で塗りつぶす
そうすることで明かりの輝きは増して人の目を惹きつける
またこんな記述も
店頭に点けられた幾つもの電燈が驟雨のように浴びせかける絢爛は、周囲の何者にも奪われることなく、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ。
一つのものを圧倒的な数集積し吊り下げる
これはディスプレイのテクニックでもよく用いられる手法
一つの“モノ”を圧倒的に集積しハンギングされることで全く違うイメージをもたらす不思議。
まさに『檸檬』の中で電燈が驟雨に見えたように・・・
梶井基次郎はヴィジュアル感覚の優れた人だったんでしょうね~
短編小説ですがVMD面で刺さる表現がたくさんあります。
この続き、また書いてみますね。
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