村上春樹、大森一樹が描いた空気感

こんにちは!

VMDコンサルタントの藤井雅範です。

 

今朝の読売新聞の文化面。

『大森一樹くんのこと』と題して小説家の村上春樹さんが寄稿されていました。

村上春樹さんと映画監督の大森一樹さんはどちらも芦屋にある精道中学校出身。

春樹さんが3つ先輩にあたります。

そして村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』を映画化したのが大森一樹監督。

 

大森一樹さんが映画化のお話を持ちかけた時が初対面だそうですが、お二人は最初っから話の波長があったそうです。

春樹さん曰く『(横にぶつ切りされた)小さな街で、同じ空気を吸って十代を過ごしてきたのだから・・・』

当時は2人とも『怖いもの知らずで、自分が吸い込む空気の確かさを信じていた』ようです。

春樹さんの小説『風の歌を聴け』では“デレクハートフィールド”なる架空の人物を冒頭とあとがきに登場させています。今の自分に多大なる影響を与えられたことを吐露するなど、まるで実在の人物のように紹介する大胆なフィクションの構成も見られました。

そんな小説『風の歌を聴け』を自分なりの解釈でヴィジュアル化したのが大森一樹さん。

 

僕も2人と同じ芦屋出身です。

小説はもちろん、この映画『風の歌を聴け』も好きで何度も見ました。

映画でもそのほとんどが芦屋や神戸といったエリアでロケされています。

お二人が描いた空気感を共感と新鮮さを持って感じることができました。

 

主人公の“僕”と友達の友達の“鼠”が乗った車が横転するシーン

春樹さんが描いた小説の設定では『猿の檻のある公園』。大森監督の映画では『西宮球場』がロケ地。

 

“僕”と“小指のない女”が一夜を過ごすアパート

小説では『芦屋の海岸近く』。映画では『神戸北野異人館』。

 

“J”が経営する“ジェイズバー”

小説では芦屋市内。映画では三宮駅北側にあった『HARF TIME』がロケ地として使われています。

 

僕も共感できた空気感?!

僕もよく知っているエリアでありお店であるので、この比較だけでもお二人の感性の違いを感じられるような気がして興味深い。

そういう意味でバッチリ一致したのがここ。

主人公の“僕”の家にラジオN・E・BのDJから電話がかかってくるシーン

『“僕”の家』、小説ではこんな表現です。

『7時15分に電話のベルが鳴った。僕は居間の籐椅子に横になって罐ビールを飲みながらひっきりなしにチーズクラッカーを摘んでいる最中だった』

僕はこの部分を読んで友達の家を思い浮かべていました。

そこは芦屋にあるごく普通の日本家屋で、小さな中庭があるんです。

映画ではまさに僕の友達の家と同じような日本家屋の居間でロケーションされていました。

この部分は僕も含めた3人のイメージが同じだったように感じられて、ちょっと嬉しかっなぁ。

お二人が伝えたかった空気感、僕なりに感じ取ることができました。

 

残念ながら11月7日にお亡くなりになった大森一樹さん。

今もお元気で映画を撮られるとしたら、街の空気感をどう表現されるのか?見てみたいです。

ありがとうございました!

 

 

 

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