新しい素材との出会い|具体美術協会のまとめ記事
こんにちは!
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
『セロファン』の登場
朝の連ドラ『まんぷく』ご覧になっていますか?
めでたく完成した「まんぷくラーメン」そのパッケージは主人公・福ちゃんの義兄、画家である忠彦さんが担当しました。
パッケージは、その当時(昭和32年頃)まだ新素材であったセロファンを使用したものとなりました。
セロファンの特徴は透明であること。
これによって包装された中味(インスタントラーメン)が確認できるという利点があります。
おまけに印刷されたグラフィックの発色も良くなる。
この様に画期的なパッケージを身にまとって「まんぷくラーメン」は圧倒的に広まっていくこととなります。
時を同じくした昭和30年代初頭。
「まんぷくラーメン」を包んだセロファンという素材は、全く違った物も包んでいたのです。
それは水で溶かれたインク。
舞台は食品のビジネスではなく、実にモダンアートの場、でのお話です。
野外具体美術展
当時、兵庫県の芦屋を中心として活動していたアート集団“具体美術協会”
彼らが芦屋川沿いの松浜公園という野外で開催した『野外具体美術展』
そこでの、具体美術協会会員である元永定正さんによる展示は、まさに透明なセロファンという画期的な素材の特徴を存分に活かしたものとなったそうです。
時を経て1992年。
芦屋川沿いを散歩していたボクの目に衝撃的な展示が飛び込んできました。
それは40年近くを経て再現された『甦る野外展』
数々のアート作品が展示されている。
それも野外、松の木が美しく立ち並ぶ公園という立地・空間を最大限に活かして展示されていたのです!
子供の頃から見慣れていた公園が、全く違った空間に変貌。
カラフルで楽しく、でも高尚な空間。
思わず足が留まり、やがて近づきその中に入り、野外展を体験している自分がいました。
その中で一番心惹かれた作品、それが元永定正さんによるセロファンのチューブにカラフルなインクを入れて松の木と木の間を細長くつないだ作品。
風が吹く度に揺れる、青い空を背景に映える、カラフルなインクがまるで空中に浮かんでいるかのような・・・
透明セロファンという素材だからこそ可能だった作品でしたね。
ボクが観た当時、すでに透明な袋は別段新鮮なものではなかった。
にもかかわらずとっても心を惹かれました。
昭和30年台当時、『野外具体美術展』であの作品を観た人々はどんな感情になったのだろうか?きっと圧倒されたことだろうな~・・・
インスタントラーメンとモダンアート。
その違いはあれど、インパクトをもって人々を驚かせた点は同じ!
食品と芸術、舞台は違えど価値を高く伝える事に成功した点は同じ!
新しい素材、ツールというものは否定するのではなく、如何に取り入れられるのか?これを考えることが重要なんですね。
そんな事に気付かされた朝の連続ドラマでした!
過去にも具体美術協会について書いた記事があります。
よかったら覗いてみてくださいね!
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