ブルース・スプリングスティーンが伝えたかったこと
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
トランプ氏の大統領選挙キャンペーンソング騒動
トランプ大統領が、大統領選挙のキャンペーンソングに使った楽曲をミュージシャンたちに「使用しないで欲しい」と抗議されたニュースが有りましたね。
アデル、R.E.M、エアロスミス、と言ったミュージシャンたちからの抗議です。
あなたと自分たちの歌はイデオロギーが違う、そういう思いがあるのでしょう。
レーガン大統領とブルース・スプリングスティーン
アメリカでは選挙でキャンペーンソングを使うのは一般的だそうです。
そしてこのように抗議を受けることもよくあるようですね。
そんな発端は、レーガン大統領が選挙のキャンペーンソングにブルース・スプリングスティーンの「ボーンインザUSA」を使用しようとしたことが発端だそうです。
『ボーン・イン・ザ・USA』
「ボーン・イン・ザ・USA」はブルース・スプリングスティーンの代表的な大ヒット曲。
アルバムジャケットは、星条旗をバックにリーバイスに白いTシャツ姿。
曲のサビの歌詞は「ボーン・イン・ザ・USA、ボーン・イン・ザ・USA」とフレーズをリフレイン。
ミュージックビデオではそのサビを拳を突き上げながら叫ぶように歌う。
こういった面だけを見ると、「アメリカ讃歌」「愛国主義者の歌」と誤解されかねませんよね。
ボクも歌詞の意味がわからずにそんな風に捉えてしまった時期もありました。
しかし本当に歌われている内容は、そうではなかったのです。
『ベトナム戦争に送り込まれ身も心もずたずたにされ、帰還してからも職にも付けず行き場がなくなった、そんなひどい目に合わされる国アメリカ、だけどオレの生まれた国・・・』
実はそんなことを歌った曲なんです。
「ボーン・イン・ザ・USA、ボーン・イン・ザ・USA」とフレーズをリフレインするのは、決して“アメリカ万歳”の叫びではなく、“苦しみの雄叫び”だったのです。
ブルース・スプリングスティーンの曲には、若者、労働者、帰還兵、時には犯罪者などアウトサイダーの視点から、アメリカの夢と挫折にまつわるストーリーを、歌詞で表現したものが多い。
なのに共和党のタカ派であるレーガン大統領は選挙のキャンペーンソングに使用しようとした。
おそらく、ろくに歌詞の意味も理解しようともせず、スプリングスティーンがほかにどんな曲を歌っているのかも知らずに選曲したのかもしれません。
でも事実を知れば、レーガン大統領もキャンペーンソングに使用しなかったでしょうね。
英語の意味はわかるはずなのにね・・・
第一印象やイメージだけではなかなか伝わらないこともあります。
印象深ければ、余計に誤解されることもある。
真意を伝えることって結構難しい。
『伝わるように伝えること』ができれば良いですね・・・
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