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村上春樹とジョン・レノンとビジネスと・・・

VMDコンサルタントの藤井雅範です。

 

『高く、硬い壁と、それに当たって砕ける卵があれば、私は常に卵の方に立つ』

ー村上春樹 エルサレム賞受賞でのスピーチよりー

これは有名なスピーチの一節ですね。

村上春樹のドイツでのスピーチ

村上春樹さんが、先日ドイツの文学賞を受賞されました。

ドイツの新聞社が主催する『ウェルト文学賞』

そこでのスピーチでもまた、“壁”の話が出てきました。

要約すると、こんな内容だったそうです。

『25年前のベルリンの壁崩壊で、ついに壁がなくなり、世界は変わり人々は安堵しました。

しかし、すぐに別の壁が現れた。

同時多発テロ、中東問題など、世界中で混乱が生じています。

これは人種や宗教、不寛容性、原理主義、そして欲望や不安などの壁です。

私たちは、壁なしで生きることができないのでしょうか?

かつてジョン・レノンが歌ったように、私たちには想像する力がある。

暗く暴力的な現実に直面する世界で、それは無力ではかない希望に思えます。

だが、その力は、私たちが気を落とさず、歌い、語り続けることの中に見いだせる。

静かで息の長い努力が重要です。』

エルサレム賞受賞スピーチでの“壁”

エルサレム賞の受賞スピーチで、“壁”の意味するところは以下のようなものらしい。

『壁には「システム」という名前がついています。

「システム」は私たちを守ろうと期待されている反面、時に独走して、私たちを殺害しはじめ、他国民を殺害するように仕向けます。

それは冷血に、効率よく、制度的に進行するものです。』

そして“卵”の意味するところはこのようなもの。

『誰でも、多かれ少なかれ、卵なのです。

誰もが、薄い殻に包まれた、かけがえのない、取り替えのきかない存在なのです。

これは私には真実ですし、あなたにとっても真実です。

私たちはみな、程度の違いはあれども、高く堅固な壁に向き合っているのです。』

ということ・・・

しかしその“壁”を作ったのも“卵”である私たち。

“卵”である私たち、個人個人が暴走していつしか“壁”になるのかもしれませんね。

そして個人から制度(システム)に変貌すると、やがて心や気持ちが無くなっていくのでしょう・・・

ジョン・レノンの“GOD”

Bed-In_for_Peace,_Amsterdam_1969_-_John_Lennon_&_Yoko_Ono_16

村上春樹さんのスピーチにも出てきたジョン・レノン。

「GOD」という歌で彼はこのようにうたっている。

『バイブルなんて信じない

・・・

ヒットラーも、ジーザスも、ケネディも

・・・

そしてビートルズも・・・』

ビートルズを飛び出した直後の彼にとって、聖書もキリストもヒットラーもみんな「システム」に感じたのかもしれないません。

そして自らが作ったビートルズ。

最初は4人の柔らかい“卵”だった彼等。

それが圧倒的な人気と、圧倒的な影響力と、圧倒的な経済力を持ってしまった。

もう自分ではコントロールのできないものへ・・・

それを“壁=システム”とジョンが捉えてしまったのかもしれませんね。

わかる気がします。

ビジネスにおける“壁”

私たちのビジネスの世界でも“壁”は存在するように思えます。

・良い商品を早く、安く、大量に、作って売れば儲かる。そのためには海外の僻地で学校に行けない子供たちが働いていようと関係ない。

・お客様の可処分所得を自社製品、自社製品、自社製品に使ってもらおう。

・日本中の商業施設をどんどん自社の傘下にして、同じ様な店で埋め尽くそう・・・

私たちが“卵”であるうちはそんな事は考えないでしょう。

いや、考えていても出来ない。

でもいつしか“壁”になってしまうと、善悪という概念もなくなる。

そして上記の様な事もやってのけてしまう。

それは“システム”なのだから・・・

まとめ

“ベルリンの壁”は市民の平和的なデモで崩壊させる事が出来ました。

私たちのビジネスを取り巻く“壁”があるならば、それが崩壊される日も来る事でしょう。

現代のビジネスは確実に“真理”に近づいている。

 

穏やかな日曜の午後、ジョン・レノンのアルバム “ジョンの魂” を聞きながら、そんな思いを巡らせていました・・・

 

 

 

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