目に見えないものに価値がある時代へ その1


20年ほど前のお話。

僕はアパレルメーカーのヴィジュアル・コミュニケーション職として、あるSPA(企画・開発・製造・小売までを一貫して行う)ブランドを担当していました。

まだ会社の売上の多くは卸事業が担っていた時代。

SPA事業では、今までとは全く違う仕組みづくりに取り組んでいました。

そんな時代。

「見える化する」ということ

「すべてを見える化しよう!」

そんな合言葉のもと、なんでも数値に置き換えるという作業が行われていきました。

売上を分解する

売上を構成要素に分解して数値に置き換えて表現する。

客数は何人で客単価はいくら、という感じです。

さらに客数は入店客数✕購買率に分解する。

みんながこの数値をみて、それをベースに会議を進める。

ものづくりのリードタイムを数値化する

商品を何時間で作れるか?を数値化するのです。

デザインは何時間で

パターンは何時間で

ビーカー(試験染色)は何時間で・・・

といった具合に。

商品のイメージを表現する形容詞は禁止!

「エレガントなスカートがあったら売れそう!」

といった表現は会議では禁止。

何センチ丈?素材は?シルエットは?

つまり「極めて具体的に話しなさい」ということ。

さらにはそれが何枚、いつまでにあったら売上が取れるのか?まで具体的に話す、というのが基本でした。

  

これは会議に参加するメンバー全員が同じ認識を持つためのこと。

接客・応対、販促、VMD、MD、DB(配分を担う)、デザイナー、パタンナー、生産管理、工場・・・・・すべての担当者が会して行われる会議での共通言語とするため。

まるで工業製品を作るような作業で進めていくわけです。

お客さんにファッション提案する、というよりも、“モノ”をいかに効率よく販売するか?が目的。

商品開発MDも、自ブランドのオリジナリティを追求するよりは、他ブランドの売れ筋情報収集の方に力が入っていた様子。

 

このやり方でしばらくは上手く行っていました。

売上も順調に伸びた。

やがて、このやり方を愚直に行っていても売上は頭打ちするようになりました。

いや、このやり方に縛られるとカンタンには抜け出せない・・・・・

 

考えてみればデータ至上主義になっていたのかもしれません。

目に見えるデータが正義。

それによってみんなの行動が決定される。

デザインもパターンもVMDも販売も。

 

そしてデータ分析が得意な人の発言力が大きくなる。

曖昧な言葉を発するのが禁止されてしまうと、発言を萎縮してしまう人も出てきます。

だから目に見えないもの、データ化されないものには蓋をしてしまうようなことが起こり始めたのですね〜

 

この続きはまた次回書いてみます。

 

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藤井 雅範

代表 VMDコンサルタント株式会社ライトハウス
アパレルメーカー 株式会社ワールドにて28年と9ヶ月、一貫してVMDの専門職に従事。レディス、メンズ、雑貨ブランド。セレクト、ファミリー及びスポーツ業態のVMDを経験。複数の事業部にてVMDマネージャーを歴任。エクスペリエンス・マーケティング実践塾55期生。《藤井雅範のプロフィール》

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VMD基本用語説明

VMD:ヴィジュアル・マーチャンダイジング→ お客様にあなたのお店(あなたのブランド)の価値を“視覚をメインとした五感で伝えること”。そのシステムのことをさす場合もある。

VP:ヴィジュアル・プレゼンテーション→ そのお店のMDの特徴やコンセプトを表現すること、またはそのスペースのこと。一般的にはお店のファサード(入り口、通路面のお店の顔の部分)にあるショーウインドウやステージ上で数体のスタイルをまとめてみせる場合が多い。

IP:アイテム・プレゼンテーション→ そのお店で、商品が、お客様が手にとれるように陳列されている状態、またはそのスペースのこと。

PP:ポイント・オブ・パーチェス・プレゼンテーション→ IPされている商品群をピックアップして、着こなしや着回し使い方を表現すること、またはそのスペースのこと。いわゆるPOPもこのPPの一部に分類されます。

ファサード:お店の顔→ そのお店の外部の通路に面した部分をさします。特に、入店客数に影響を与えるスペースでもあります。

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