片岡義男のエッセイから学ぶ、マツダ躍進のもう一つの理由。その2
VMDコンサルタントの藤井雅範(ふじいまさのり)です。
前回は『片岡義男のエッセイから学ぶ、マツダ躍進のもう一つの理由。その1』という記事を書きました。
今日はその続きを書いてみますね。
MAZDAの業績が良いらしい
MAZDAの業績が良いらしい。
2015年3月期業績によると、売上高が3兆339億円(前期比+12.7%)、営業利益が2,029億円(+11.4%)、純利益が1,588億(+17%)で、営業利益、純利益共に過去最高となったそうです。
過去を振り返れば、09年3月期から12年3月期までは4年連続で当期純損失を計上していた業績。
そんな状況から一気に過去最高益を計上するまでに回復した模様。
そこには、06年頃から全社を挙げた「モノ造り革新」と呼ばれる構造改革に取り組んだことが要因だそうです。
モノ造り革新
「スカイアクティブ」と呼ばれる、MAZDAが開発・製造する自動車技術は、1世紀以上続く「内燃機関」というシステムのポテンシャルを改めて見つめ直したものだそうです。
一般的に30%から40%に過ぎないとされる燃焼効率をさらに高めたもの。
燃焼効率を高められれば燃費も良くなるし、内燃機関が持つ「走る楽しさ」もそのままとなるらしい。
さてマーケティング面では?
「モノ造り革新」の効果はもちろん大きいことでしょう。
しかし注目すべき点は他にもあります。
それはマーケティングです。
今のお客様に対して、何を伝えているのか?という面です。
広告宣伝では?
広告宣伝に関しては以前にブログでも書きました。
この記事では、広告での表現がライフスタイル別にその車を買うことで得られる体験を伝えている、ということを書きました。
『実は運転苦手だったんです。高速道路とかの合流で、モタモタしたり。でもアクセラにしてからどこでもスーッとスマートに走れるようになりました。なんだか楽しくって、今では旦那様より私の方がハンドル握ってます』という風に、実際に使用している人の声が使われているということ。
VMDでは?
MAZDAの広告では、全車種赤い車が表現されていることが多いです。
この表現はショールームでも同じ。
全車種すべて赤で見せている。
圧倒的なインパクトが出ます。
赤で統一することにより、サイズやディティール(細部、仕様)の違いだけが浮かび上がる効果があります。
これは車種のラインナップのデザイン面、カラーリング面をVMD的に見なおした結果だと推測します。
一つは特徴的なフロントグリルとヘッドライトのデザイン、これは基本的にすべての車種で同じデザインテイストで統一されているように見えます。
もう一つはカラーリング、色の付け方ですね。
特に赤というキーカラーは、ほぼ全車種で展開しているように見えます。
BMWやボルボなどは伝統的にそのようなことが行われていたでしょうが、この辺りは日本の自動車メーカーとしてはなかなか出来ていませんね。
特に、ショールームという場所で出来ているところは見たことがありません。
ショールームや広告での表現を見越して商品構成、デザイン、カラーリング、ディスプレイを完遂できている。
これはまさにVMDですね!
業績の悪かった時代には『値引きのマツダ』と揶揄されていたそうです。
それが今では『走る喜び』、『笑顔になれる車』といったキャッチフレーズが違和感なく受け取れるようにまでなりました。
価格やスペックと言った部分から、お客様の喜びへと視点が変わっていったのが伺えますね。
昨日書いたように、マスタングの成功はマーケティングというものが土台のようだ、ということを片岡義男さんのエッセイで学びました。
MAZDAもまた、マーケティングの成功だとボクは思います。
ともすると技術面にばかり目が行きがちです。
確かにそういった面での進歩も素晴らしい。
しかし他のメーカーでもその部分では切磋琢磨しているとも思います。
消費者の受け取る目線では、広告宣伝やVMDを意識したことが大きいと感じた。
メーカーとしてモノを売り込もうという姿勢ではなく、『素直にお客様が笑顔になれる車を目指している』、という思いも感じ取れます。
『MAZDAのクルマに乗ることで、快適な生活がおくれそう・・・』『あの赤い色って、ちょっと独特で私らしい・・・』『チョトだけ人とは違う、自分らしいライフスタイルに合っている車・・・』そんな漠然とした、『一つのモノよりもライフスタイル全体を楽しみたい』という消費者の意識を目覚めさせてくれるマーケティング。
その部分は他のメーカーにはない独自性が感じられました。
そう思うのは、ボクだけでしょうか?
・・・・・そういうことです。
この記事へのコメントはありません。