『この人から買いたい』と思っていただくには・・・
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
お店でお買い物をする時に、
「いらっしゃいませ、どうぞご覧くださいませ」
という様な言葉を良く掛けられる。
先日入ったお店は違いました。
「失礼ですが、そのパンツってスゥット素材ですか?」
と声を掛けられた。
ボクが「ええ」と答えると、
「そうなんですね。パッとみれば普通のスラックスですよね。履き心地が良さそうですね!」
そんな言葉から会話が始まりました。
お互い好きな話をしているときが一番楽しい !
その日、ぼくが入ったのは表参道にある米国ブランドのフラッグショップ。
「最近はスエット素材のパンツが多いですよね。でも裾のリブに抵抗があって、なかなか難しいんですよ」
彼はそう続けました。
「お客様のパンツだと、裾はリブでもないし、ネップも入っていてスェットっぽくなくきちんと見えますよね!」
そこからしばし、ファッション談義。
商品を売り込むことは一切なく、お互いの好きなファッションについてのお話をたのしみました。
決して売り込まない姿勢
話しているうちに、ちょっと探していたボウタイのことを思い出しました。
「ボウタイってどんなのがありますか?」
と訊ねてみました。
するとボウタイ(蝶ネクタイ)のコーナーに案内してくれました。
しかし店頭にはあまり出そろっていない様子。
「実は店頭に出し切れていないのがあるんですよ・・・」
彼はしばらく姿を消し、やがてボックスを抱えて戻って来ました。
「沢山あるんですよ。良かったらスタイリングのイメージをみていただいた方が良いと思うので、合わせたい洋服を教えてください。似た様なモノを用意しますね。実際に合わせて確認いただければと思いますので・・・」
彼は実際にボクが話したスタイリングに、極めて近いジャケットとシャツを持って来てくれました。
それに次々とボウタイを合わせてみながら、彼なりのイメージや感想を話してくれる。
決して売りつけようとはしていない感じで。
「この黄色をアクセントに持って来るのがウチのブランドらしい合わせ方。しかし今年っぽいのはネイビーの小紋柄でトーナル(中間色同士のコーディネート)に合わせるのが感じですね・・・」
やがて、ボクはひとつのボウタイの購入を決定しました。
ゆったりとしたソファに座って支払いを済ませます。
その間もファッションの話やボクの住んでいる街の話に花を咲かせました。
やがて、見送られてそのお店を後に。
なんだか友達の家を訪れた様な気持ちのよい印象を与えてくれて、とても価値のある買い物が出来たなあ、という気分になりました。
「いらっしゃいませ。どうぞご覧くださいませ」
と声を掛けられると、売り手側と買い手側に立ち位置が明確になってしまいがち・・・
「失礼ですが、そのパンツってスゥット素材ですか?」というように、ファッションの質問や共感できる話からはいると距離感が縮まります。
店頭に出ていないボウタイをストックから運んで来てくれるのは、もしかすると、シーズン持ち越しの在庫を引き出して来たのかもしれない。
しかし、共通の話題を話して、距離感を縮めた後に「実は店頭に出しきれていないのがあるんですよ・・・」
といって持って来てくれれば、普段は見れないものを自分の為にわざわざ用意してくれたような感じを与えたりする。
売り込もうとしない姿勢は、こちらから商品が欲しいといってしまう=モノの価値を高く感じられる。
また、仲の良い友達と話しているのような気分にさせてくれて、この人から買ってあげよう、という思いにさえなる。
立ち位置が替われば結果は大きく違います
いかがでしょうか?
同じ接客、というシーンでも「いらっしゃいませ、どうぞご覧くださいませ」から始まる“売り手側”と“買い手側”という立ち位置では、堅苦しい感じを与えたり、売り込まれるのでは?という気持ちにさせる。
“ファッション”や“趣味”や“好きな街”の話題で関係性を深めることから入り、モノの売り込みをされないとリラックス出来るし、いつしかこの人から買ってあげたい、という気持ちになる。
なにより、販売スタッフ自身は後者の方が圧倒的にモチベーションが高くなるはず。
結果は大きく違って来ますね。
あなたならどちらを選びますか?
・・・・・そういうことです。
フェイスブック有難うございます。私、藤村先生と、先のレリアンの事を本にした大なぎさんの本を今は最も参考にさせて頂いています。きっと今は「心の時代」なのでしょうね。藤井さんの記事は同じ関西人として非常に参考になります。いつもありがとうございます。
最高に良い記事ですね。即刻、参考にします。有難うございます。私のPCの壁紙にはレリアンの接客教育係?の方の話しを目に見える所に貼っています。『あと味を先にお持ち帰りいただく。』を
山田さん、コメントありがとうございます!
『あと味を先にお持ち帰りいただく』深いですね〜!