“突然のおもてなし”の思い出

こんにちは!

藤井雅範です。

 

今日から三連休、初日は雨の土曜日ですね。

ボクにも“おもてなし”をされた思い出はあります。

その中でも忘れられないような“おもてなし”がいくつかある。今日はそんなことを書いてみます。

 

昔からの友人の死

小学生の時からずっと仲良かった友達がいた。

彼は大学生になってしばらくすると突然亡くなった。

ずいぶん早い死である。

 

彼はどことなく、冷めていたようなフシがあった。

熱中していなかったり楽しんでいないのではなく、少し離れたところから冷静にものごとを見つめるような部分を持っている。

とっても大人っぽかった、子供なのに・・・

 

高校一年の時、同じクラスだったボク達は男子を集めて一覧表を作っていた。

同じ高校の女の子の人気投票をするための一覧表。

カッコよく言えば、facebookを作ったマーク・ザッカーバーグのきっかけと同じ動機だったわけです(もちろんあと付けの言い訳です!笑)

男子がそれでめちゃめちゃ盛り上がっていると、やはり匂いを嗅ぎつける女子が登場する。

そして当然、教師に告口。

ボクらはこっぴどく絞り上げられる、という訳です。そんな時・・・

 

彼はこういった時も落ち着いています。

ヒステリックにボク達を叱りつける女性教師に向かってひとこと

『ただの遊びやろ、そんなに熱くなんなよ』

COOLだ!

とっても大人っぽかったんです、子供なのに・・・

 

そして7回忌の出来事

彼が亡くなったのは、たしか彼がハタチくらいのことでした。

それから時間が経ち、ちょうど七回忌くらいの命日に近い日曜日の午後、昔からの友達四人でお仏壇にお参りしようと家を訪ねました。

芦屋川の辺りの豪華なヴィンテージマンションです。

ベルを押すと彼の母親がでてきました。

彼の母親は小学校の頃から、PTA連中の親玉格の振る舞いでした。

母親連中のなかでも年齢も上の方で、貫禄も有る。

他人の子供でも叱りつけるし、担任の先生にもズケズケものを言う。

はっきり言ってコワーイイメージでしたね。だからマトモに話をしたこともなかった。

風貌は野村沙知代さんを彷彿させるような、眼鏡の奥でキラッと目が光って睨みつけられるような雰囲気。

 

しかしその日玄関でボクらを迎え入れてくれた彼女は、すっかり優しいおばあちゃんでした。

ただ、あいかわらずよく喋る。

息子の命日の話もそこそこに、近況やら昔話しやら矢継ぎ早にまくし立て始めるのです。

ボク達は仏壇を前にしてお線香をあげました。

彼の写真の隣には父親の遺影が並んで飾られていました。

父親は彼がなくなって一年もしないうちに病気で亡くなったそうです。まるで彼の後を追うように。

 

その日ボク達はすぐに帰るつもりでした。

友人の一人はガールフレンドを車に待たせたままだったしね。

お線香を上げると彼女(亡くなった友達の母親)はニコニコしながらこう言った。

『まぁなんにもないけどゆっくりして、お茶でも飲んでね』

ボク達は20畳以上はゆうにある、広ーいリビングルームのソファに座らされました。

彼女は紅茶にクッキーにケーキにチョコレートと次々とお菓子を出してくる。

『あっもう皆んな大人だし、ちょっと飲む?』

そう言うと今度はビールを持ってくる。

ボク達はお互い顔を見合わせましたが、いかんせん意志の弱い連中です(笑)

ありがたく頂戴することにしました。

そして彼女は、よどみなく喋り続けながらカマボコやチーズを切って出してくれ始めました。

そのうちに『いただきものだけど良かったら飲んで』と舶来のウイスキーやブランデーもテーブルに並べられました。

 

彼女はボクに向かって『あなたはまだ結婚しないの?』と聞いてきました。

突然のことで少し驚きながら、その気はないことを伝えました。

すると彼女の舌鋒はさらに鋭くなったのです。

『あのね、良い娘がいるのよ。すぐ近くの釣具屋さんの店員さんなんだけどね。とってもかわいくてね、私に親切にしてくれるのよ。一度会ってみない?私が今から一緒についていってあげるしね』

ボクはそんな状況が得意ではありません。恥ずかしがり屋だし絶対にイヤだった!

でも一生懸命勧めてくれるのでムゲに断るのもはばかれる。

だから適当に言葉を濁していました。

 

そのうち彼女はこういった『おなかすいてるでしょ?ちょっとお鍋でもするわね』

そう言うと冷蔵庫から立派なカニを出してくる。

それを手早くさばくと鍋に放り込む。

豪華なカニ鍋の完成です。

ビールもまわり、調子に乗ったボク達は結局3時間以上、彼女のおもてなしを受けました。

帰り際には『絶対良い娘だから、紹介するからね。気に入らなかったら他の娘もいるし・・・』と熱心に言ってくれました。

よっぽどボクのことが心配だったのでしょう。この人は女の子に相手にされないんじゃないか?と心配してくれたのかもしれません。とっても優しいまなざしでボクに語りかけてくれたのです。

 

そしてボク達はマンションを後にし、友達のガールフレンドが待つ車に戻ったのです。

待ちくたびれたガールフレンドはクルマの中ですっかり熟睡。そしてボク達はすっかり酔っぱらい。

突然訪問したのに豪華なおもてなしを受けて、おまけに女の子まで紹介されそうになった!(笑)

そんなの初めての経験でした。

なんだかありがたかったし、忘れられない一日だったなぁ。

 

とっても大人っぽかった友達と、怖そうに見えて実はとっても温かい彼の母親。

二人はどんな会話をしていたのだろう?上手く想像できないけど・・・

でも彼は愛に包まれた人生を送っていたんだろうなぁ、ちょっと短かったけどね。

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  1. Chieko

    子どもなのにちょっとCOOLな息子と面倒見のよいお母さん。芦屋川沿いのマンション。目に浮かんでくる。私もずいぶんお世話になったな。おばちゃんも数年前に亡くなられたそうですね。Time goes by.であります。空の上でまた出会っているといいね。そんな事を思ったブログでした。ありがとう。

    • 藤井 雅範

      コメントありがとう!
      おばちゃん亡くなったんだね〜
      おばちゃんにもてなされたあの日は、とても印象に残る一日でした

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