文学とVMD |『檸檬』から学ぶディスプレイ・デザインのヒントその4
こんにちは!
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
前回まで3回に渡って【文学とVMD|『檸檬』から学ぶディスプレイ・デザインのヒント】というテーマで書いてきました⬇
今日はその4回目です。
バランスよく見える!積み上げのテクニック
梶井基次郎の小説『檸檬』のクライマックス部分。
京都にある『丸善』という書店兼文具店兼雑貨店での主人公のとった行動です。
「あ、そうだそうだ」その時私は袂の中の檸檬を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」
私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。私は手当たり次第に積みあげ、また慌しく潰し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。
やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。
見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。私は埃っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。
一つのものを積み上げる
このバランス感覚もディスプレイでは重要
大きなものから小さなものへ積み上げるのか?
一定の角度に合わせて積み上げるのか?
ジグザグに積み上げるのか?
カラーを揃えるのか?
カラーのコントラストをつけるのか?
この小説のように画集を積み上げるのなら
閉じたまま平置きして積み上げるのか?
立てて積み上げるのか?
或いは開いあたかも屋根のように積み上げるのか?
自分の心が軽く跳りあがる(おどりあがる)までやってみてください(笑)
そうして積み上げたてっぺんに一つのモチーフを配置する。
そうすることでグッとバランスが取りやすくなる。
この小説の主人公が画集の上にそっと『檸檬』を置き去りにしたように・・・・・
デザインやディスプレイの仕事をしている人は読んだ方がいいですよ。(短編小説、五分で読めます)↓
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