ウォッシュレットとピグレットとゴールデン・スランバーズ
果たしてブルーレイ・レコーダーは手に入るのか?
あれは昨日の午後のこと。
午前中いっぱい庭仕事や大工仕事で家のメンテナンスをしていました。
午後からはとなり街の家電量販店へ行きました。
ブルーレイ・レコーダーが欲しかったから・・・
家電量販店のパーキングは空いていました。
エントランス近くのスペースへクルマを停めて、ご機嫌に店内へ。
メロディを思い浮かべながら入って行きました。
『わんすぜあわずざうえい〜とぅげっばっぐほーむたうん・・・』と、“ゴールデン・スランバーズ”の出だしを。
上手く歌えませんでしたが。
やがてブルーレイ・レコーダーが置いてあるあたりへ近づきました。
売り場へ足を踏み入れてブルーレイ・レコーダーの前で一瞬足を止めた、その瞬間のことです。
『何かお探しですか?お伺いします』
そう声を掛けられて、その声の主の方へ顔を向ける。
その男は、朝剃ったはずのヒゲがもうびっしり伸び始めているような青々とした色のしっかりとした顎を持ち、少し禿げかかったオールバッグの髪にはロッドのパーマがかかっている。
笑顔のように見えるけど、目は決して笑っていない。
彼の顔はまるで鬼ヶ島の赤鬼を彷彿とさせた。
『いいえ、ただ見ているだけです』
ボクはようやくそれだけ答えると、再び動き出す。
すると、キッチリ3メートルの距離を取りながら、ボクの移動と連動してその赤鬼はついてきました。
ブルーレイ・レコーダーの売り場から、隣のテレビジョンの売り場に移動。
そしてふと赤鬼の方を見る。
彼はまだキッチリ3メートルの距離を保って、横目でチラリチラリと怒ったような表情でボクを見張っている。
こ、コワイよー。
二階へ逃げろ!
本当はもっとゆっくりブルーレイ・レコーダーを見たかったのだけど、あまりの恐ろしさにボクは二階へと逃げ込みました。
そこでデジカメやらモデルガンやらを眺めては見たものの、やはりブルーレイ・レコーダーが気になる。
でもまた赤鬼がいたらいやだなぁ・・・
ボクは意を決してもう一度一階へ降りました。
ブルーレイ・レコーダー売り場には幸いな事に赤鬼の姿はない。
それどころかスタッフが誰もいない。
ボクはゆっくり売り場を見て、やがて気になる一台に出会えました。
そうです、肝心な質問したい時にスタッフはいない。
そしてスタッフが居そうな別の売り場まで行ってみた。
ピグレット登場
そこで、以前見たことのある顔のスタッフを発見。
チューリップの姫野達也によく似た彼。
やや小柄で小太りで人懐っこい笑みを浮かべている。
彼の顔は、まるでピグレットのようだ。
あっ、“くまのプーさん”に出てくる子豚の名前です。
以前、ボクが間違えた色のウォッシュレットをこの店で購入。
その時に応対してくれたのがこのピグレットのようなスタッフです。
ウォッシュレットを設置に来て貰う前に気がついて電話すると、気持よく対応してくれました。
当初の商品ではその色がないため、別の商品でサイズ確認やら在庫確認やらを行ってくれた。
結局、とってもスムーズに設置が完了しました。
ボクの間違いなのに、咎めることもなく気持ちよい仕事をしてくれてたピグレットなんです。
ぼくはピグレットに、聞きたい機種の性能のこと、テレビと違うメーカーのレコーダーを使うデメリットについて質問しました。
ピグレットは、解りやすく答えてくれるだけでなく、価格に関してもネット販売との差額等、お店にとって不利な点まで正直に教えてくれました。
一生懸命、短い手と手をこすり合わせながら。
ボクにはその手先が“チョキ”に見えた。
値段が高くてもここで買いたい
ピグレットが提示した価格はネット販売より1割以上高い価格です。
その上でピグレットは搬入取り付けについて説明してくれました。
重たい思いをして持ち帰らなくても、搬入から配線までスタッフが家まで来てくれてセッティングしてくれるという提案です。
特に費用は不要とのこと。
ボクにとっては価格は少々高くても、持ち帰る手間と配線とセッティングの手間がはぶける。
ボクは迷うことなく、ピグレットからブルーレイ・レコーダーを購入しました。
帰り際、ピグレットにウォッシュレットの御礼を言ってみた。
ピグレットは覚えていてくれて、“お役に立てて嬉しいです”とニッコリ微笑んでくれました。
おかげでその日は午後からも気分よく過ごすことが出来ました。
“ゴールデン・スランバーズ”も上手く歌えるようになった。少しだけね!
さてここで質問です。
あなたは赤鬼さんから買いたいですか?それともピグレットから買いたいですか?
当然ですよね、みんなピグレットから買いたいに決まっている。
そして、高い価格でもピグレット買いたい。
ものの価格だけではなく、それ以上の価値を感じるから。
それはサービスや、気持ち良い購買体験といったことです。
特に気持ち良い購買体験というものは、リアル店舗だからこそ感じられる部分かもしれませんね。
だから赤鬼さんのようなスタッフではいけません。
赤鬼さんしかいなければ、きっとボクはネットで買っていたと思う。
あんなスタイルの応対をしていては、桃太郎に退治されてしまいますよ!
・・・・・そういうことです。
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