ロジカル・シンキングよりも大切なこと。その⑥
VMDコンサルタントの藤井雅範(ふじいまさのり)です。
過去5回にわたって『ロジカルシンキングよりも大切なこと』をテーマに書いてみました。
今日はいよいよ最終回です。
『感情』『情緒』『直感』
あなたは街を歩いています。
陽射しを受けて、新緑が目にまぶしく輝いている。
ふと、すれ違う人から良い香りが漂うのを鼻孔に感じる。
とたんにその人がとても魅力的な人に感じてしまう・・・
これってロジックではかれるものではありません。
あなたは車を運転しています。
カーラジオから懐かしい曲が流れてくる。
信号待ちの間、空を見上げると茜色に染まっている。
不意に涙が溢れてしまう・・・
これもロジックではかれるものではありませんよね。
もちろん、ロジカル・シンキングが悪いことだとは思いません。
でもそれに縛られて、大切なものを見失ってはいけない。
これからは『感情』や『情緒』や『直感』といったものが大切になってくるんです。
ロジックではかれないこと
お洋服や靴やバッグ、アクセサリーなどのファッション性の高いアイテムを買う場合を考えてみましょう。
「いらっしゃいませ〜」「どうぞご利用くださいませ〜」というようなマニュアル通りの声出しを、一定の間隔で投げかけられる販売スタッフのいるお店。
かたや、まるで旧知の友人のような親しみやすさで会話ができる、感じの良い販売スタッフのいるお店。
同じようなものを買うならボクは後者のお店で買いたいです。
そこではスタッフとの会話に『共感』を感じたり、親しくなることによってスタッフ個人との『関係性』が深まるから・・・
過去にこんなことがありました。
デニムのシャツが欲しいな、と思ってあるお店を訪れました。
緊張感があるくらい整然としている店舗環境。
一目瞭然すぎる。
教科書的なVMDの考え方では100点満点のお店かもしれない。
しかしボクの欲しいものがないお店、ということまで理解できて、すぐに踵を返して、お店を出て行ったことがありました。
またこんなこともありました。
特に目的もなく訪れたお店。
まるで人のクローゼットのように自然と置かれた商品たち。
お店の床に使われいる古材は歩くと軋んで、乾いた音を立てる。
甘いアロマが漂う店内には古いロックミュージックがかかっている。
ふと見れば、金魚鉢があって魚が泳いでいる。
循環させるために流れている水が、ひそやかに音を立てています。
その空間に居ることがとても心地よく、長い時間お店で過ごしている。
結果として、まるで買う予定のなかったアンクレット(足首につけるアクセサリー)を買ってしまったことがありました。
こういうことってロジックではかれませんよね?
でも、そんなことにとっても価値を感じてしまうんです。
『感情』『情緒』『直感』といったことが重要。
まとめ
『感情』『情緒』『直感』、これは商品開発、VMD(インテリアやディスプレイ、販促ツール)接客応対まで、すべての段階で大切なこと。
人間性を重んじること、と言えるかもしれません。
“良いものが適正な価格で販売される”
これはもう標準装備になりつつあります。
そんなお店はすでにたくさんある。
そんな今、どんなお店が選ばれるお店なのか?
それは、『共感』出来たり、『関係性』の深いスタッフがいたりするお店。
『共感』出来たり、『関係性』を深めるためには『感情』『情緒』『直感』といった、ロジックではかれないことが大切になってくる。
『ロジカルシンキングよりも大切なこと』というテーマのもと、6回にわたる長い記事になってしまいました。
伝わりましたでしょうか?
世の中にたくさんある、VMDに関する記述の中で、こういったことを掘り下げ書かれているものはまだまだ少ないと思います。
皆さんの気づきになる記事になっていれば幸いです。
ロジカル・シンキングより大切なことを読まさして頂きました。
自分は大手アパレル会社で9年間VMDをさしていただきました。
退職して只今転職活動中です。
全く違う職種で探していたのですが、この記事を見てやっぱりVMDがやりたいと思いました。
前職で感じていた足りないものがこの記事を読み分かった気がします。
まだ、どの会社も本社と店舗(現場)の温度差と言うものがあると思います。みんなにこの記事を読んでもらいたいくらい心に響きました。本当にありがとうございます。
藤原さん、コメントありがとうございます。
9年間VMDをなさっていたんですね。
今からはさらにVMDを広い視点で考えていくことが大切でしょうね。
その方が楽しいし、成果につながるんだと思います。