ファッションビジネスって、素敵な仕事だったんだ・・・
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
複数のファッション関係者から、ソーシャルメディア上でリコメンドを受けていた映画、『繕い裁つ人』を見てきました。
もう30年もファッションの仕事に携わってきた自分が、ついつい忘れがちな大切な事。
それを思い返させてくれた。
ファッションビジネスって、とっても素敵な仕事だってことを・・・
『繕い裁つ人』ってこんなおはなし
中谷美紀演じる主人公の市江は、祖母の跡を継ぐ洋裁店の二代目。
顧客からとても強い信頼を持たれていた先代である祖母。
市江の仕事は、その祖母の作ったオーダーメイドの洋服のリメイクやサイズ直し。
知人の店で販売してもらうだけの、祖母のデザインを流用して作った少しの新作。
それが彼女の仕事の全て。
しかしその丁寧な仕事ぶりと、オリジナリティの高い商品に魅せられたデパートの服飾担当者からブランド化の話が。
『頑固じじい』とまで形容される市江は、そんな話が舞い込んでも頑に首を縦に振らない・・・
主人公と顧客にはコミュニティがある。
顧客は一着の洋服をとっても大切に着続けていて、傷んだりサイズが合わなくなるとお店に持ってくる。
市江のお店にきた顧客同士は、旧知の仲のように話が弾む。
そして年に一度開かれる『夜会』
その日の為に、サイズ直しを頼みにくる老紳士もいるほどのイヴェント。
顧客達はこの日を特別な日と捉え、ドレスアップとダンスとワインを楽しむ。
それを見た顧客の娘や孫が、自分の親や祖父だと気付かないくらいに輝いて見える顧客達。
活き活きしたコミュニティが形成されています。
映画を見て気づいた事
本来のファッションビジネス、基本はココにあるのではないでしょうか?
お洋服を着る事で、モチベーションがとってもアップする。
お店を通じてでコミュニティが生まれる。
そして『夜会』のようなそれを楽しむ場、も提供する。
その為にまたお洋服が売れたり、リメイクされたりしてビジネスは続いていく・・・
『夜会』の為のスリーピース(三つ揃い)のサイズ直しを頼んだ老紳士。
こっそり夜会を覗きにきて、自分も市江にドレスを作って欲しくなった孫娘に言うセリフが秀逸。
「自分の買った服を、1ヶ月かそこらで売ったり捨てたりする様な奴らに、市江さんのドレスを着る資格はない」
本当の洋服の意味をわかっている人だから言える言葉です。
まとめ
我々は一点の洋服を売っているんじゃない。
洋服がある事で出来るコミュニティ、洋服を大切に着続ける事で人も大切に思う気持ち。
そんなものが本当の商品。
だから顧客は、洋服を使い捨てたりせずに大切に大切にリサイズやリメイクして着続けてくださる・・・
映画をみて思い出しました。
元来ファッションビジネスって、とっても素敵な仕事だったてことを。
・・・・・そういう事です。
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