タイトルが9割!?|片岡義男の本を買う理由
『ラジオが泣いた夜』
『スローなブギにしてくれ』
『アップルサイダーと彼女』
『いい旅を、と誰もが言った』
『ドライマティーニが口をきく』
『5Bの鉛筆で書いた』
・・・
これらはすべて小説のタイトル。
作者は片岡義男。
高校時代、授業中に僕がしていたことは本を読むこと。
机の下に文庫本を広げてずっと読んでいたなぁ。
殆どが片岡義男のエッセイや小説。
最初に片岡義男の文章に触れたのは、テディ片岡という名義で書かれた『意地悪な本』
いたずらの数々を紹介するようなナンセンス本で面白かった記憶があります。
当時はまだ小説家ではなく、ライターだったんだね。
当時片岡義男の小説をついつい買ってしまっていたのは、そのタイトルのせいだったと思う。
最初は集英社文庫の『トウキョウベイ・ブルース』
その後は角川文庫シリーズ
『アップルサイダーと彼女』『人生は野菜スープ』『ラジオが泣いた夜』
どれもがこんなタイトルだからね~
どんな話なのかなんてどうでもよくて、ただただかっこよかった。
小説の文体はハードボイルド。
別に探偵が登場するわけではなく、登場人物の心情を直接的に表現しない、ということ。
外観、情景を徹底的に描きあげることによって、内面・心情は読者の想像に任せる。
読み手にとっては、よりイメージが膨らみ空想や憧れにつながる。
片岡義男の描くオートバイやクルマ、波乗り、コーヒー、アメリカのカルチャーとライフスタイル。
そういったものがとっても魅力的に感じられるのも外観・情景を徹底的に描きあげるスタイルだからこそだと思う。
これは特にアメリカのような国に関しては有効な手法かもしれない。
移民たちによる多民族国家であるアメリカ。
今のアメリカンカルチャーは、もともとそこにあったカルチャーではなく、移民たちが持ち寄ったもので組み合わされてできている。
コアなモノの価値よりも、イメージを上手く伝えるような外観や表現によって価値が膨らんでいったような気がする。
だからアメリカンカルチャーは見た目(外観)のデザインが格好良いのかも知れないねぇ。
そんな実態があるようでないアメリカ。
それに憧れを感じさせるのに一役買ったのが片岡義男、特に小説のタイトル、なのだと思う。
小説にとってのタイトルは、クルマにとっての外観と同じくらい販売に影響する。
それに僕たちがまんまと引っかかったのだ(笑)
でも本当は中身も素敵だよ!
片岡義男に関しては又書いてみよう。
片岡義男の描く『マスタング』について、以前書いたブログ。読んでみてね↓
昔よく聞いていたラジオの深夜番組『気まぐれ飛行船』
片岡義男のぼそのそした話し方も、安田南のアンニュイさも素敵ですよ↓
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