キー・ポイントは弱さなんだ|AIと人間
こんにちは!
藤井雅範です。
AIがドンドン仕事をこなす時代になった時、AIはどんな仕事をして人間はどんな仕事をするのか?
人間だから出来る仕事って何?
そんなことがよく話題になります。
仕事がどうなるかを考える前に、人間とAIの大きな違いはこんなことではないでしょうか?
『AorB』『◯か☓か』『100÷50=2』これがAIの基本。
『Aでもあり、時にはB』『ある面は◯だけど違う面では☓』『数字だけでは割り切れないことも有る』
それが人間らしさであると思います。
革命の夜
実は先日のエクスマセミナーでボクが演じた『革命家』もそんな役柄。
政府や警察に追われ、ある家に飛び込んでかくまってもらう。その家に暖かく迎えられるも仲間の危機の知らせを受け、出ていこうとする。しかし引き止められてズルズルと時間を過ごしてしまう情けない男。革命家とはいえ、自分自身はとても弱く、だからこそ人間くさい。
演じていて、ボクは村上春樹さんの小説の登場人物を思い出した。
初期三部作の締めくくりに当たる『羊をめぐる冒険』の“鼠”
“鼠”とは主人公“僕”の親友の名前です。
羊をめぐる冒険
『羊をめぐる冒険』にこんな一文が出てくる。
「キー・ポイントは弱さなんだ」と鼠は言った。「全てはそこから始まっているんだ。きっとその弱さを君は理解できないよ」ー中略ー「何に対する弱さなんだ?」「全てだよ。道徳的な弱さ、意識の弱さ、そして存在そのものの弱さ」・・・・・ー中略ー「俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさや辛さも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。君と飲むビールや・・・・・」鼠はそこで言葉を呑み込んだ。「わからないよ」
これはある大きな事件に巻き込まれた“鼠”と呼ばれる友人が、その顛末を主人公の“僕”に対して打ち明ける、この小説の中で重要な意味を持つ部分です。
ボクはこの一文が好きです。
なんかとても人間らしさを感じる表現だと思う。
「キー・ポイントは弱さなんだ」、「俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさや辛さも好きだ・夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。君と飲むビールや・・・・・」
「なんて人間臭い表現なんだろう」と思います。
人間らしさが価値になる
情に流されたり、意志が弱かったり・・・今まで良しとされていなかった部分までもが却って人間らしさになる。
そう思うんです。
情緒やちょっとした感情の動きや感性。
そこを磨くことができれば、それはAIには出来ない価値につながるんじゃないかなぁ。
そしてそれが、これからのビジネスでも人間が受け持ち続ける部分なのかもしれない・・・
エクスマ新春セミナーの場で、情けない『革命家』を演じていてそんなことを感じました。
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