これからの『セール』のあり方とは?

VMDコンサルタントの藤井雅範です。
『セール』を行なう意味
店頭はほぼ春物が出そろってきました。
しかしまだまだ『最終セール』をうたっているお店も。
今日は、ファッションのお店で『セール』を行なう意味、を考えてみましょう。
日頃利用してくださる客様への感謝
コレはとても大切ですね。
いつも良く利用してくださる顧客様。
半期に一度感謝を込めて割り引いた価格で商品を提供する。
接客サービスも通常時と変わらぬオペレーションで出来れば良いですね。
潜在顧客(まだ顧客でない方)に商品やお店を知っていただくきっかけ
いわば、お試し。
通常価格ではなかなか手が出せないけど、セール価格なら手が届くかも。
そんなお客様に商品やお店での接客を体験してもらう機会としての『セール』
将来的な顧客やファンを創造する場、という事ですね。
逆効果の『セール』とは
このように、『セール』を顕在顧客(既にお得意様になっている方)への感謝、又は潜在顧客(将来的にお得意様になってもらえる可能性のある方)との出会いの場、と設定する事が理想です。
しかし、現実の店頭を見ていると全く逆の事が行なわれている事も・・・
価格での訴求の危険性
『セール』において、安い価格を表現したくて、オフ率の表記や単価表記のPOPやポスターをとってもたくさん表示しているお店もあります。
ヒトは言葉や文章に目がいきやすいものです。
お店の雰囲気や商品といった、本当に一番見ていただきたいものよりも、オフ率や単価の表記にばかり目がいく様な店頭も見受けられます。
良く理解して欲しい事があります。
それは、“価格の安さ”を前面に打ち出せば、お客様はその商品を選ぶ理由を“価格の安さ”に見出される、ということ!
そうです、実はお客様はとても素直。
お店が“価格の安さ”を訴えれば素直にそこに反応される。
“安い価格”に価値を感じて購入された場合、そのお客様は通常価格時のお店の顧客にはなっていただきにくいかもしれません。
なぜなら、“価格の安さ”に価値を感じて購入したから.
ついそのときと比較してしまう、通常時にメリットを感じにくくなってしまう可能性があります。
ましてや価格の安さが購買の理由だとしたら、その商品は大切に着ていただけない可能性があります。
「まっ、安かったから良いや」
と、大事にされないかも?
そもそも値段に釣られて買ったとしたら、通常価格時にはその店の存在さえ忘れてしまっている可能性も。
また頻繁にセールを行なうデメリットとしてはこんな事も考えられます。
定価で買っていただいた顧客様が、頻繁に行なわれるセールによって値引きされた同じ様な商品を見た場合、どんな風に感じるでしょう?
頻繁にセールを行なっているお店やブランドは、本当に適正な上代をつけているのか?
(原価率の設定が低すぎるのではないのか?)
こんな風に、お店やブランドの根幹に疑問を抱かせる様な事にもつながる・・・
セール時でも価値を伝えよう!
セールの時でも出来るだけ通常時と変わらない接客サービスやVMDを心掛けたいものです。
顕在顧客に対する感謝の意味。
潜在顧客に与える印象。
本当のお店の価値、商品の価値を伝えていきましょう。
まとめ
今後、お店の前の通行客数が増えるような環境は少なくなっていくでしょう。
将来的には、減っていく一方の場所がほとんど。
ほっておいても新規のお客様がどんどんお店の前を通ってくれる、そんな事は起こりにくい。
そして新規客を獲得して固定客化するにはとっても労力がかかります。
今すぐに手を打つべき事は、既存顧客との関係性を深める事。
『セール』というのは、その為のきっかけにもなるし、逆に顧客を失う可能性もある。
捉え方、表現の仕方、運用の仕方如何でどちらになる可能性も考えられる。
あなたは『セール』をどう捉えますか?
・・・・・そういう事です。
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