グレープフルーツのような乳房!?
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
村上春樹作品の味わい
村上春樹さんの文章、その特徴としては比喩の使い方にあると思います。
比喩の意味を調べてみると『物事の説明や描写に、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現すること。たとえること。その表現。』とあります。
たとえば、こんな表現。
比喩を用いる前
『10分ばかり後で、胸が大きく派手なワンピースを着た30歳ばかりの女が店に入ってき僕の1つ隣に座り、僕がやったのと同じように店の中をぐるりと見回してからギムレットを注文した。』
比喩を用いると
『10分ばかり後で、グレープフルーツのような乳房をつけ派手なワンピースを着た30歳ばかりの女が店に入ってき僕の1つ隣に座り、僕がやったのと同じように店の中をぐるりと見回してからギムレットを注文した。』
このように変化するわけです。
どちらも同じ女性ですが、その女性のイメージをより深く伝えているのはどちらでしょうか?(笑)
やはり比喩には、そのイメージをより深く伝える効果がありますよね。
またこんな文章もあります。
比喩を用いる前
『一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたようにとっても沢山のビールを飲み干し「ジェイズバー」の床に積もるくらいピーナツの殻を撒き散らした。そしてそれは、そうでもしなければ生残れないくらい退屈な夏であった。』
比喩を用いると
『一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートル・プール一杯分ばかりのビールを飲み干し「ジェイズバー」の床いっぱいに5センチの厚さにピーナツの殻を撒き散らした。そしてそれは、そうでもしなければ生残れないくらい退屈な夏であった。』
どんだけビール飲んだのか?
どんだけピーナッツ食べたのか?
そしてどんだけ時間を持て余した夏だったのか?
比喩を用いることでより深く伝わりますよね。
村上春樹さんは“比喩”に関してこのように語っています。
『比喩というのは言うなればパッケージです。ただモノを渡すだけではなく、モノの詰まったパッケージを渡すのです。ただの意味を共有するのではなく、総合的な、複合的なイメージを共有するのです。』
これって、ビジネスでも言えることですよね。
ビジネスにも豊かな表現を
ファッションの場合
ただ、一点の洋服を渡し対価を受け取るという行為。
かたや、そのお洋服を着て出かけるシーンを想定して、素敵なコーディネートに仕上げて、バッグや靴やアクセサリーもつけて、髪型やメイクまでアドバイスして差し上げるという行動。
こんな違いのようにも受け取れます。
ただ商品と交換にお金を受け取ること。
お客様のライフスタイルを豊かにするお手伝いを行うこと。
同じビジネスでも全く違う結果になります。
小説を読むとそんな豊かな表現の勉強にもなるんですね。
この比喩は『風の歌を聴け』という村上春樹さんのデビュー作で読むことが出来ますよ!
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