山の岩肌の白、街の風景の白。
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
話せば長くなりますが、芦屋という町に住みはじめて51年が過ぎました。
小さな頃は、家の周りの路地はまだ舗装されていない道が多かった。
良く思い出すと、どの道も“白”かった。
校庭も、グランドも、空き地の土も“白”
正確に言うと“エクリュベージュ”(うす赤みの黄色)という表現が近いのかもしれません。
しかし、太陽が強く当たると“白”に見えます。
ボクの原風景では、土の色は“白”いイメージです。
フランク・ロイド・ライトの話が、いつしか“石”中心のお話へ
昨日、“世界の巨匠たちと芦屋ー芦屋とヨドコウ迎賓館”というセミナーを聞きました。
フランク・ロイド・ライトが設計した、日本に現存する唯一の住宅作品であるヨドコウ迎賓館。
フランク・ロイド・ライトにまつわるお話を楽しみにしてセミナーに参加しました。
講師は、武庫川女子大学の三宅正弘先生。
三宅先生のお話はライトの建築の話よりも、街の景観は山の石が生み出す、という内容の話の方が面白くてボクの興味もいつしかそちらへ(笑)
芦屋という街は、直ぐ背中に六甲山がそびえ、目の前は海、中心には真っ直ぐな川が流れています。
芦屋川、です。
山には、ロックガーデンと呼ばれる岩肌がむき出したロッククライミングの練習場があります。
そこにはエクリュベージュの花崗岩が見えています。
そして川。
芦屋川は、滅多に河口まで水が通っていない。
いつも途中で水は途絶えます。
そこから河口までの部分は一面の砂地。
その色もエクリュベージュ。
山の岩肌が崩れて、削れて川に流れ込むから。
ボクが小さな頃見た、舗装されていない路地はまさにこの色でした。
そして、川は海へと続きます。
埋め立て地と埋め立て地に挟まれて、河口にわずかに残された昔ながらの海岸線。
そこを埋め尽くす砂もエクリュベージュ。
そして、川の斜面や家の周辺を囲む石垣は圧倒的にこの花崗岩を使ったものが多い。
いわゆる、白い御影石。
これもやや赤みの強いエクリュベージュです。
よく見ると石にはピンクのつぶつぶが入っています。
舗装が進んで風景が変わってしまう!
今は、車道歩道ともあたりまえのように整備されていますね。
なので、どの道もグレーな感じです。
しかし昔の、舗装が進む前の街を写真や映画で見ると、とっても白い印象です。
まばゆく白い感じ。
阪神間に多く見られるものとして青い松、洋館の赤い瓦屋根、石垣の上の緑の生け垣があります。
三宅先生によると、これらと白のコントラストが芦屋や阪神間らしさを表現している、という見方も出来る様です。
その原因は、山の岩肌の色がもたらすもの。
・・・・・そういうことです。
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