もしもみんなが豊かな比喩を使い出したら・・・|村上春樹に学ぶビジネスのヒント
“比喩”というものは、ある物事を伝えるのにとても有効です。
見たまま聞いたままの表現よりも、もっと奥深くまで伝えることができる。
もちろん、聞き手のフィルターによって伝わり方は全く違ってきますが・・・
村上春樹作品の比喩
『風の歌を聴け』という村上春樹さんのデビュー作があります。
その中ではこんな比喩が登場します。
「一夏中かけて、ボクと鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートルプール一杯分ばかりのビールを飲み干し、“ジェイズ・バー”の床いっぱいに5センチの厚さにピーナッツの殻をまきちらした」
このメタファー(暗喩・隠喩)は何を表現しているのでしょう?
まさか本当にプール一杯分のビールを飲んだり、ピーナッツの殻を5センチ積もらせたわけではありませんよね。
でも、『時間はあるけど、とっても退屈な夏』ということは伝わってくる。
受け取り手によっては、リゾートホテルで過ごす夏を想像したり、静かな図書館で過ごす夏を想像したり、山や田畑に囲まれた田舎で過ごす夏を想像したりします。
単なる『退屈な夏』が比喩によって、ふくらんだイメージで伝わってくる、ということですね。
『「もしもし、」と女が言った。それはまるで安定の悪いテーブルに薄いグラスをそっと載せるようなしゃべり方だった』
この比喩は何を表現しているのでしょうね?
しゃべり方をテーブルにグラスを載せる行為、に例えている。
『とても慎重な話し方をする女性』ということは伝わります。
受け取り手によっては、女性のほっそりとした外見を想像したり、内気な性格を想像したり、少し混乱している情緒を想像したりする、というわけです。
味わい深さを増すのが比喩
この様に上手く比喩を使えば、読み手の想像力をかきたてることが出来ます。
同じ事象を表現するにも、より味わ深く伝えることが出来るのですね。
もし興味を持たれたら、ブログやフェイスブックの投稿でも一度チャレンジしてみてくださいね。
チラシやPOPのキャッチコピーでも良いですね。
より目に止まりやすかったり、より共感される文章になるかもしれません。
まるで救済された魂みたいに・・・
でもね、もしもみんながみんなこんな比喩を使い出したら???
それはそれでちょとメンドクサイかも?(笑)
・・・・・そういうことです。
村上春樹さんの比喩は本当に見事ですよね。
30年以上前に読んだ文章も未だに憶えているくらいに、頭をガツンをやられました。
面白いブログありがとうございました。