ターゲットを絞ると、圧倒的になる。
藤井雅範です。
先日、あるバッグを見る機会がありました。
ジェーン・バーキンが実際に使っていたバッグです。
そのバッグは、今では世界中の人が知っている存在です。
エルメスの「バーキン」。
このバッグには、こんな有名なエピソードがあります。
ある時、エルメスの社長だったジャン=ルイ・デュマ氏が、飛行機の中で女優・歌手のジェーン・バーキンと隣り合わせになった。
彼女が持っていた籠バッグから荷物がこぼれ落ちる。
そして、
「たくさん入れても、物がこぼれないバッグがあればいいのに」
そんな趣旨の話をしたことが、バーキン誕生のきっかけになったと言われています。
そこから生まれたのが、
「ジェーン・バーキンのためのバッグ」
でした。
たくさん入る。
使いやすい。
でも、エレガント。
彼女のライフスタイルや困りごとを想像しながら作られたバッグは、やがて世界的な存在になっていきました。
ここに、僕は店舗づくりにも通じる大切なことがあると思っています。
「誰にでも好かれる」は、意外と難しい。
お店の相談を受けていると、
「幅広いお客様に来てほしい」
という話をよく聞きます。
もちろん、それは当然のことです。
できるだけ多くの人に来てもらいたい。
できるだけ多くの商品を買ってもらいたい。
でも、そのために、
「誰にでも好かれるように」
と考え始めると、店舗の見え方がぼんやりしてしまうことがあります。
色も無難。
商品も無難。
ディスプレイも無難。
POPも無難。
結果として、
「悪くはないけれど、なぜか記憶に残らない」
というお店になってしまう。
一方で、
「この人に来てほしい」
というお客様が具体的に見えているお店は違います。
何を見せるのか。
どこに置くのか。
どんな色を使うのか。
どんな言葉を添えるのか。
どこで立ち止まってもらうのか。
すべての判断が変わってきます。
一人を想像すると、見せ方が変わる。
例えば、
「30代女性向けのバッグ」
と考えるだけでは、まだ少し抽象的です。
でも、
「仕事をしながら子育てもしている。
荷物が多い。
でも、いかにもママバッグには見せたくない。
休日には、そのまま食事にも行きたい。」
そんな一人のお客様を想像してみる。
すると、
どんなバッグを入口に置くのか。
どんなスタイリングにするのか。
何を一緒に見せるのか。
どんな高さに商品を置くのか。
どんな写真を撮りたくなるようにするのか。
少しずつ答えが見えてきます。
つまり、
ターゲットを絞ることは、お客様を減らすことではない。
むしろ、
「誰に、何を伝えるのか」を明確にすること。
そして、それが店舗の「見え方」を強くしていきます。
VMDは「きれいに見せる」だけではない。
VMDというと、
「ディスプレイをきれいにすること」
と思われることがあります。
もちろん、それもVMDの大切な仕事です。
でも、本質はそこだけではありません。
誰に来てもらいたいのか。
その人に、何を感じてもらいたいのか。
何に興味を持ってもらいたいのか。
店内で、どう動いてもらいたいのか。
そして、
最後に、何を買って帰ってもらいたいのか。
そこまで考えて、初めて「見せ方」が意味を持ちます。
以前、このブログで書いた
①見つけてもらう
②歩きたくなる
③居心地が良い
④買いやすい
という「お客様の購買行動シリーズ」も、実はすべてつながっています。
入口で興味を持ってもらう。
店内を歩いてもらう。
その空間を心地よく感じてもらう。
そして、買いやすい状態をつくる。
そのスタート地点にあるのが、
「誰に、何を伝えるのか」
なのです。
あなたのお店は、誰に語りかけていますか?
もし今、
「ディスプレイを変えても、なんとなくしっくりこない」
「お店の見え方が弱い気がする」
「何を変えればいいのかわからない」
そう感じているなら、
もしかすると、ディスプレイの技術以前に、
「誰に向けて、このお店を見せるのか」
が曖昧になっているのかもしれません。
バーキンが、最初から「世界中の人のためのバッグ」だったわけではない。
一人の女性の生活や困りごとから生まれた。
僕はここに、店舗づくりの大きなヒントがあると思っています。
一人を深く考える。
すると、
見せ方が変わる。
空気が変わる。
お客様の行動が変わる。
そして、結果としてお店の価値が変わっていく。
そんな「感覚設計」の考え方を、もっと多くのリアル店舗に関わる方に知っていただきたいと思っています。
9月7日に大阪で開催する
「感覚設計VMDセミナー」
では、
「どう見せれば、お客様に見つけてもらえるのか」
「どうすれば、店内を歩きたくなるのか」
「どうすれば、心地よく過ごしてもらえるのか」
「どうすれば、買いやすくなるのか」
を、ファッションに限らず、スイーツ、カフェ、スーパー、花店、雑貨店、ドラッグストア、メガネ店、インテリアショップなど、リアル店舗に関わる皆さんに向けて、できるだけわかりやすくお話しします。
「ディスプレイを変えたい」
というところから参加していただいても大丈夫です。
そこから、
「お客様の行動をどう設計するか」
まで、一緒に考えてみませんか?
感覚設計VMDセミナー
日時:2026年9月7日(月)17:00〜19:30
場所:大阪府大阪市北区西天満2-6-8 堂島ビルヂング9階 D室
参加費:5,000円(税込・当日現金払い)
お申し込み:
https://vmd-lighthouse.com/request-seminar/
※メッセージ欄に「9/7セミナー希望」とお書きください。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://vmd-lighthouse.com/vmd/26401/
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