疲れを吹っ飛ばすアート|今井祝雄展

VMDコンサルタントの藤井雅範です。

気温はまだ高いですが、朝晩の空気は確実に秋の気配を感じさせてくれる様になりましたね〜

具体美術協会との出会い

僕が『具体美術協会』の存在を知ったのは、1992年の夏のことでした。

当時、沢山の仕事に追われていました。

毎日のように日本中を駆け回ってディスプレイ、ディスプレイ、ディスプレイ・・・

メンズ、レディス、キッズ、雑貨、大型複合店。

様々な形態のショップやブランドの価値を、専門技術を駆使して視覚的に表現、価値を高く伝えて満足度の高いお買い物をしてもらう。結果として売り上げに貢献する、という仕事。

とてもやり甲斐のある仕事でした。

しかし、如何せんその量が多すぎた。

肉体的にも精神的にも、とても疲れていたのは事実です。

 

そんな時、ふと訪れた芦屋の松浜公園。

そこで目にしたのが『蘇る野外展』。

『具体美術協会』が過去に2回、同じ松浜公園で開催された野外展を再現したもの。

偶然通りかかった僕は、その斬新さに疲れが吹っ飛んで目を奪われたこと、今でも思い出します。

 

『長い未来をひきつれて』|今井祝雄展

その具体美術協会の作家で一番の若手だったのが今井祝雄さん。

現在もお元気で創作活動を続けておられます。

その今井さんの作品を集めての展覧会

『長い未来をひきつれて』が芦屋美術博物館で開催されています。(2024.9.242024.11.17

今井さんは、写真、映像、音、といったメディアの活用が、具体の作家の中でも特に顕著な方です。

  • 毎日自身の自撮りをポラロイドカメラで撮影し、1年ごとに積み重ねた作品

 

  • 圧倒的な量のビデオフィルムをまるでスクリーンのように上階の手摺りから吊り下げ、そこに昔のテレビで放送終了後などにみられた走査線のような動画を映し出した作品

 

  • レコードを細かく割って、大きな破片から小さな破片へと積み上げることで、まるでツリーのように見せてレコードプレイヤーに載せた作品

 

  • キャンパスの意味を変換し、キャンパス中央部には何も描かずに、縁取りに盛ったメディウムが醸し出す隆起や陰影を表現した作品

 

 

以前、同じ具体美術協会員だった堀尾貞治さんが、実際に創作する現場を幾度か拝見したことがありました。
それはペンキのついた刷毛を使って、あたかもホウキで掃除するかのように、小石達を転がして床に描く作品。

創作しているその現場での楽しそうな表情が印象的。

その姿に“具体美術らしさ”を感じました。

堀尾さんと同じく、「今井さんもまさしく、具体美術協会員らしさを持った作家さんだなぁ」と感じさせてくれた今回の展覧会。

 

キャンパスから飛び出すアート、アバンギャルド、従来の価値観の破壊、といった姿勢を感じさせる作品たち。

仕事に追われたり精神的に追い込まれている方、ご覧になって疲れを吹っ飛ばしてくださいネ!

具体美術協会に関しては過去のブログにもいくつか記載しています。よかったらこのブログの検索窓🔍で『具体美術協会』と検索してみてくださいね。

 

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