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「何を見せる?」から「どう魅せる?」へ |第四話

三日前からスタートしたこのシリーズ。↓

 

軽い読み物風にして身近にVMDを学んでいただける構成にしています。
今日は第四話。引き続きお楽しみくださいね!

『VMDは恋愛ドラマだ!』

 

 その日お店に出勤すると、マネージャーがタブレットを示してこう言った。

「このコンテストに応募してみない?」

それは私達のお店が入っているショッピングモールが主催する「VPコンテスト」のことだった。

 

 VPコンテストの趣旨はこういうこと

【コンテストを通して店舗の売上アップにつながるディスプレイ・POPのノウハウを学んでいただき、来館促進及び売上UPを狙うことが目的。入選されたお店には専門家の審査員からのフィードバッグのコメントがあり、上位の入選店舗にはギフト券のプレゼントがある・・・】

  そうか、店頭でVMDを実践しながら学べて、おまけにギフト券までもらえる!うん、参加してみたい!

 

 私はマネージャーに言った。

「はい。やってみたいです!」

「お店の価値はどうすればお客さんに伝わるのか?そこを考えてね」

 マネージャーは私にそう言った。その表情はいつもの口角だけでなく頬まで持ち上がっている様に見えた。よし、やってみよう!でもその前に、VPってなんだ?お店の価値を伝えるって??

 「そうだ、こんなときはマスターに聞いてみよう!」

帰りにマスターのカフェに寄ってみることにした。

 

 「マスター、今度ウチのお店、VPコンテストに参加しようと思うんです」

今日はめずらしくバッハが流れている。ゴルトベルク変奏曲。グレン・グールドのピアノが耳に小気味よく伝わる。

「VPコンテスト?あっ、そういえばこんな話知ってるかな?VMDは恋愛ドラマだ、って話」

「VMDは恋愛ドラマ???」マスターの話は、よく突拍子もなく飛ぶ。

「そうさ、VMDは恋愛ドラマとおんなじ。VP、PP、IPってよく聞くでしょ?」

そういえば今回も“VPコンテスト”ってうたわれているなぁ。

「恋愛ドラマってパターンがあるじゃない?あれとおんなじなんだよ」

マスターの話を要約するとこういうことだった。

 

「道端で男女がすれ違いざまにぶつかる」→ハプニング、突然の出会い

「飛行機の席で、隣り合わせた男女が再会する」→タイミング、偶然の出会い

「話が合う、気が合う、波長が合う」→フィーリング、お付き合いが始まる

こういった一連の流れが、よくある典型的な恋愛ドラマ。

で、VMDも同じらしい。

 

  • ショーウインドウ(VP)で『ワッ、素敵!』とハッとさせる。(突然の出会い)
  • ポイントのディスプレイ(PP)で『アッ、これ良いわ!』と気づかせる。(偶然の再会)
  • 実際の売り場(IP)で『コレにしよう!』と選んでもらう。(お付き合いが始まる)

 なるほど、そういうことか・・・

 

 「だからね、VPではまずハッとさせることが大切。ただ売りたい商品や見せたい商品をディスプレイするだけでは、なかなかハッとはしてもらえない」

そうか、今までは本部の指示通りの商品・スタイリングを見せているだけの事が多かったなぁ。それだけでお客さんは見てくれるもんだって思い込んでいた。ハッとさせるという意識は、あんまりなかったなぁ。

 

第四話につづく

 

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