ショーウインドウは売り込むだけの場所じゃない!まず夢を見せること
こんにちは!
VMDコンサルタントの藤井雅範です。
ワールドというアパレルメーカーに入社して29年、独立してから6年。
35年間、ずっとVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)の仕事をしています。
先日のブログで“アポイントメント制を継続したほうが良い理由”について触れました。
ただ、アポイントメント制の場合、ともすると閉鎖的に見えてします。
新しいお客様にも『あっ、入ってみたいなぁ』と思わせることも大切です。
これにはショーウインドウやinstagramでの発信が効果的。
ショーウインドウの役割って?
ショーウインドウはVP(ヴィジュアル・プレゼンテーション)スペースともいわれます。
そのお店の一番の見せ場、世界観を表現する場所です。
単に売りたいものを見せるというよりも、足を留めてもらうことのほうが重要。
そのお店らしさ、季節感、インパクトが大切な部分なんですね~
コロナショック以降、このVPスペースでの表現が大事になってくると思うのです。
なぜならば、人はファッションのお店にもっと夢を求めるようになるから。
自粛期間中、ファッションに関してリアル店舗の売上は大きく減りオンラインの売上は増えました。
今まではリアル店舗派だったけどこの機会にオンラインでのお買い物に慣れた、という人も多いようです。
オンラインのほうが在庫も豊富だし価格の比較も容易だしね。
『今は自粛してるけどやっぱりリアル店舗に行きたい!』
instagramのライブ配信でのコメントを見ていると、そう思われている方も多い様子。
あるいは
『オンラインで買うのは機能性商品やベーシックアイテム』
そう使い分けている方も多い。
ではリアル店舗に来てくださる理由は何でしょう?
ひとつは“人”
もうひとつは“夢”
“人”というのは「あの人から買いたい」ということ
“夢”というのはそのファッションを購入することで「私の暮らしがどう変化するのか?」に思いを巡らすということ。
一枚のタイル
僕が以前勤めていたワールドというファッション企業の創業者である畑崎広敏さん。
僕が入社時の社長だった方です。
畑崎さんは平成7年の7月より年末まで、日本経済新聞の夕刊にコラムを連載されていました。
平成7年といえば阪神大震災のあった年、神戸に本社機能をもつワールドも多大な被害を受けました。
連載されたエッセイ達はやがて『一枚のタイル』という名の冊子にまとめられます。
目を通させていただいた時、「畑崎さんは商才だけでなく文才もお持ちなんだ」と感心させられました。
そのエッセイ集の中に『震災ルック』というタイトルの一編があります。
一部抜粋します。
(震災後)二週間くらいたって被害の軽かった店から順次、営業を再開していった。もとより売れはしない。なにしろ、通りがかる女性はホコリよけの帽子にマスク姿、ヤッケの背中にはリュック、それに足元はスニーカー。俗にいう“震災ルック”だ。ところがそんな格好の女性たちがショーウインドーの前で一様に立ち止まり、顔を紅潮させて見入っている。疲れてきつかった表情がみるみるなごんでいくのがわかる。「華やかな服を眺めていると何か心が浮き浮きしてくる。気持ちも豊かになったみたいで」とうれしそうに話していた、と店長が報告してくれた・・・
とても共感できる文章でした。
そしてリモートワークが定着しステイホームを余儀なくされている今と、状況がかぶっているように思うのです。
出かける機会は減り着飾った格好で歩くのもなんだか憚れる、でもやっぱりオシャレしたい!またファッションを楽しみたい!
そんな思いの人が多いのではないでしょうか?
ショーウインドウは夢を見せる場所
いまこそファッションを提供する側が夢を見せるとき。
ショーウインドウは売り込むだけの場所じゃない!まず夢を見せること。
それもこれからのリアル店舗に課せられた大切な役割。
そう思うのです。
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