【ライフスタイルを表現するVMD|Vol.01】 商品を見せるだけでは、商品の魅力は伝わりきらない。
先日、神戸のビームスを覗いてみた。
目に入ったのは、サーフテイストの商品が並ぶコーナー。
洋服やファッション雑貨。
そして、サーフボードやウエットスーツ。
ここまでは、サーフテイストのコーナーとして、それほど珍しいことではないかもしれない。
でも、ちょっと面白いのは、その周りにあるものだった。
レコード。
洋書。
レコードプレイヤー。
スピーカー。
そして、聴こえてくるのは少し掠れたレコードの音。
そこで売られている商品は、サーフィンをするためのウェアだけではない。
メインはタウンで着るアパレルだ。
それなのに、そこにサーフボードやウエットスーツがあり、レコードがあり、音楽が流れている。
すると、洋服だけを見ていたときとは違うものが見えてくる。
サーフィンのあるライフスタイル。
海に行く。
音楽を聴く。
本を読む。
好きな服を着る。
そんな時間まで、なんとなく想像できる。
「この服、いいな」
だけではない。
「この服を着て、こんな時間を過ごしたい」
そんな気持ちが生まれてくる。
僕は、ここがVMDの面白いところだと思います。
商品を魅力的に見せる方法は、商品そのものをきれいに見せることだけではない。
その商品があるライフスタイルを表現する。
そうすると、商品の向こう側にある価値まで伝わりやすくなる。
例えば、コーヒーを売るなら、コーヒーそのものだけではなく、
「休日の朝に、好きな音楽を聴きながら飲む時間」
を見せる。
アウトドアウェアなら、服そのものだけではなく、
「自然の中で過ごす時間」
を見せる。
家具なら、椅子そのものだけではなく、
「その椅子に座って過ごす暮らし」
を見せる。
お菓子なら、お菓子そのものだけではなく、
「誰かと一緒に過ごす時間」
を見せる。
そう考えると、VMDで表現できることは、ずいぶん広くなる。
商品のスペックを伝えるだけではなく、
「この商品があると、どんな時間が生まれるのか」
まで伝える。
それが「ライフスタイルを表現する」ということなのだと思う。
そして、そのライフスタイルが感じられるお店には、独特の空気が生まれる。
今回のビームスで感じた、あの心地よさもそうだった。
商品。
什器。
レコード。
本。
音楽。
それぞれがバラバラに存在しているのではなく、ひとつの世界をつくっている。
だから、ついつい足を運びたくなる。
「何か買わなくちゃ」ではなく、
「ちょっと覗いてみたい」。
そんな気持ちにさせてくれる。
ファンの来店頻度を高めることも、こうしたライフスタイルの表現が生み出す価値の一つなのかもしれない。
置いてある商品自体は他のセレクトショップと大差ありません。
でもライフスタイルの表現が心地よく、ここで購買したくなる。
僕は、店舗を見るとき、
「何が置いてあるか」
だけではなく、
「ここでは、どんな暮らしが見えているのか」
を見るようにしています。
商品を売る。
その一歩先に、
その商品がある暮らしを見せる。
すると、商品の価値はもっと魅力的に伝えられる。
これから、この視点でいろいろなお店を見ていきたいと思う。
ファッションだけではない。
食品、インテリア、雑貨、サービス。
業種や業態が変わっても、
「商品ではなく、その先にあるライフスタイルをどう表現するか」
という考え方は、きっと使える。
次は、どんな「ライフスタイル」が見えてくるだろう。
【シリーズについて】
「ライフスタイルを表現するVMD」
商品そのものだけではなく、その商品があることで生まれる暮らしや時間まで表現する。
そんな視点から、さまざまなお店を見ていきます。
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