1985年のガンタッカー

VMDコンサルタントの藤井雅範です。

年の瀬が押し迫りました。

まるで春のように穏やかな気候。

西陽が少し差しこむ温かい部屋でブログを書いています。

 ガンタッカーとは?

ガンタッカーってご存知ですか?

壁紙や椅子などの生地を張り替える為に使う道具。

ホッチキスの親分のような針を打ち込んで生地を固定していきます。

ディスプレイを専門的にやった経験がある方は、一度は使用したことがあるかもしれませんね。

30年以上前のガンタッカー

30年以上前のガンタッカー

昔話を・・・

今から30年ほど前、ボクが最初に仕事に就いた時のはなしです。

ボクはワールドというアパレルメーカーに就職しました。

職種は今でいうVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイザー)

その頃は、取引先専門店さんの店舗のディスプレイや商品レイアウトをチェンジして、店頭売上アップへの貢献を主業務としていました。

中でもショーウインドウのディスプレイは、大切な要素。

どのお店も立派なショーウインドウが、目立つ箇所に設置されています。

そのショーウインドウのイメージを、打ち出す商品、コーディネートに応じて変化させる。

その時に活躍するのが、ガンタッカー。

大部分のショーウインドウは床にベニヤ板が敷き詰められ、壁にも張り巡られている。

それにフェルトなどの生地が張ってあるわけです。

それをディスプレイに応じて張り替えるんですね。

そうすると簡単にイメージが変わる。

当時のボクたち新人のメインの仕事は、そんな生地の貼り替えと言っても過言ではないでしょう。

ボクも配属早々先輩から言い渡されました。

「このガンタッカーを預けておく。これからいつでも使えるように持っておけよ。」という内容。

これを二人の先輩から言われました。

つまり常にガンタッカーを二つ携帯しておけ!という事です。

当時のガンタッカーはオールスチールです。

一台の重量は700グラムほど。

それ以外にも金槌、ドライバー、ペンチ、メジャーなどなどの仕事道具を携帯して各店舗へ向かいます。

遠地のお店への出張が多かったので着替えなどの宿泊用具も持っている。

とっても荷物が多かった。

えっ一眼レフのカメラ?

そうそう、初めての給料をいただいた日のこと。

先輩に連れられてカメラ屋さんへ行きました。

そして当時出たばかりの新型の一眼レフカメラを指して、「こいつがこのカメラを買います。ローン組んでやってください」と、お店の人に言う・・・

もちろんディスプレイ撮影用にです。

そして当時はまだボクはディスプレイさせてもらってません。

その先輩の作ったディスプレイを撮影する為のカメラをボクのローンで買いに行ったのです!(笑)

(あっ、今ではとっても感謝してる、もちろん尊敬している人です)

ガンタッカーとの日々

話は戻って、ガンタッカーや金槌などの大工道具に加え、一眼レフのカメラまでも常に携帯。

とっても重たいバッグを担いでの出張の日々が続いた、と言う訳です。

お店にいくと掃除から始めます。

次に床と壁の貼り替え。

ペンチを持って、まずは古い生地を外す事から。

次に新しい生地をベニヤ板の型に合わせて裁断する。

そしてガンタッカーの登場。

生地を引っぱって、伸ばして、シワが入らないように気をつけて張っていきます。

最初の辺が終われば対向した辺。

90度横の辺が終わればまたそこの対向した辺へと打っていく。

毎日大変だったけどガンタッカーを打つのは嫌いじゃなかったな。

打ち込むときのガチャリという音を聞くのは爽快でもあった。

ただ毎日の移動の際の荷物の重さには、辟易していたけれども・・・

 新製品登場!

そんな日々を送っている中である日、東急ハンズに出掛けたときの事。

DIY(ドゥイットユアセルフ)のコーナーで僕は発見してしまいました。

プラスティックで出来たとっても軽いガンタッカーを!

思わず買い求めた。

試しに家で打ってみたが特に支障はない。

翌日からボクはそれを持って出張に出かけた。

ホッ、荷物がずいぶんと軽くなった・・・

ボク一人でパネルの生地を張り替える上では何の問題も無かった。

しかしある日大量の生地を張り替える際、先輩が「俺も手伝うからガンタッカーをよこせ・・・」

仕方なくボクはプラスティック製の軽くて新しいガンタッカーを渡しました。

「なんじゃこれ、こんなんじゃ生地をしっかり打ち込めないよ!」

と先輩は言う。

「すみません」ととりあえずボクは謝っておく。

しかし実際使用すると問題は無い。

やがて先輩も文句は言わなくなりました・・・

ふーっ、やっと鉄のかたまりを持ち歩かなくて良くなった。

まとめ

でもね。

モノ、としても魅力は圧倒的に古くて思いスチール製のガンタッカーにある。

手にした感触。

打ち込む感触。

何とも言えない気持ち良さがあります。

と言う訳で、30年を経た今もボクの手元にそのスチールのガンタッカーがある。

当時のものそのものです。

今でも生地を貼り替えたり、配線を留めたりする時には使っている。

プラスティック製のガンタッカーは、ダメになったりなくしたりして10台以上買い替えたけど、スチール製は30年前のまま。

今でも全く壊れずに仕事をしてくれます。

それにしてもこういった銃(ガン)に似た形状の工具や工業製品には惹かれてしまいますよね。

これって男性特有の傾向なのかな???

・・・・・そういう事です。

 

 

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