芝生の庭を中心としたコミュニティ|深江文化村

ボクの住んでいる芦屋という街の西隣は神戸市の東灘区。

その南西に“深江”と呼ばれる地域がある。

古くは漁師町であり、東には芦屋川、南は白砂青松の海岸があった。

その環境の良さからか文化人が多く住んでいたらしい。

深江文化村

その深江にユニークなコミュニティが存在していた。

それが『深江文化村』

約3000坪の敷地。

中心の広い芝生を囲むように13棟の洋館が立ち並んでいた。

時は昭和の初期、ロシア革命で亡命した指揮者メッテルら、著名な音楽家ら13家族が住んでいた。

彼らとの交流から、朝比奈隆や貴志康一といった、多くの日本の音楽家が育った場所でもあったらしい。

作曲家の大澤壽人や山田耕筰、洋画家の小磯良平らも出入りしていたそう。

当時の理想的なコミュニティ

理想とする住環境を創造するために資産家と医師、建築家吉村清太郎などが手を組んで『深江文化村』を開発。

そこでは世界中から音楽家を中心とした文化人・アーティストたちのコミュニティが生まれた。

外側はそれぞれの家は独立していながら、内側に広い共有の芝生のスペース。

そこではきっと、日常的に演奏会や音楽談義やパーティが行われていたんだろうなぁ。

 

プライバシーは守られながらも、気軽にパブリックにアクセス出来る。

文化人やアーティストたちがコミュニティを作るのは理想的な環境だったのかもしれない。

今も感じる空気感

13棟の洋館のうちいま現存するのは、わずか2棟。

この2棟だけは実際に住居として大切に使用されている様子。

当時の全貌を見る事はできない。

ただ残された2棟の家と、その近くに生える枝ぶりの良い松の木。

有り難いことに、ここからその様子をイメージすることが出来る。そんなムードは、まだ感じ取れる。

 

それぞれが手がける文化・芸術を追求しながら理想とする住環境を実現した。

なんだか夢のあるお話だし、それがこんなに近くで実在していたことは感慨深い。

今の理想的なコミュニティとは?

今、我々の手元にはスマートフォンというツールが有る。

さらにソーシャルネットワークを使えば、世界中の人と繋がれる。

世界中の、志を同じくする人たちとコミュニティを作ることさえ可能になった。

 

それぞれが手がけるビジネス・文化・芸術を追求する理想的なコミュニティ。

今の時代ならどんな形が考えられるのだろう???

 

きっともう既に、何処かで誰かが実践しているんだろうなぁ。

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