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ピアノが話し、セリフが奏でる|『ブラインド・タッチ』

スズナリという小劇場

下北沢の『スズナリ』は趣がある劇場だ。

角地に立つ『鈴なり横丁』と名付けられた、2階建て(おそらく)の古い建物。

昭和の時代からそのまんまタイムスリップしたような雰囲気。

外壁に沿うように設けられた階段を登ると2階にある劇場に直接アクセス出来る。

扉を開くと、古い駅の待合室のような狭いロビー、そして劇場。

ひな壇状になった客席は、狭いながらも詰めれば200人ほどは収容できそうだ。

ボクがこの劇場に来たのはもう四年ぶりぐらいだろうか?

 

その時は『南河内万歳一座』の芝居を観に来た。

高校時代からの友人が在籍していたから。

藤田辰也、もう死んでしまった。

独特の雰囲気を持ったやつ。

でも感性が、波長が、ボクと合った。

“あまのじゃく”なところも!!!

もう一度、話できたら良いな。

それはかなわないけど・・・・・

ブラインド・タッチ

昨日は『ブラインド・タッチ』という芝居を観た。

坂手洋二さん作・演出による二人芝居。

演じるのは高橋和也さんと都築香弥子さん。

学生運動や沖縄闘争が激しかった1970年ごろ、デモの行進中に起きた衝突事件で誤認逮捕された男。

彼は変革の運動家であり、音楽家の側面を持つ。

男の冤罪を信じて、彼の支援活動に身を捧げその男と獄中結婚した女。

男は二十数年に及ぶ交流生活を経て出所。

二人は初めて刑務所の面会室以外で対面し、共に生活を始める。

その新生活を営む部屋には一台のピアノが置かれていた。

女が用意したものだ。

男のために・・・

 

あらすじはこんな感じ。

舞台はずっとその新生活の部屋の設定のまま。

時間・季節・は変化するもののストーリーはその部屋で進行する。

ネタバレになるのでストーリーにはあまり触れません。

ただ久しぶりに芝居を観て驚いた点が3つある。

・真っ暗の中での設営

同じ部屋と言えども大道具小道具は変化する。

畳の上にちゃぶ台があったり、新聞やダンボール箱が広げられていたり、庭に小屋が立てられたり、その中にピアノが設置されてていたり。

そういった結構な変化が、シーン変化の幕間に行われる。本当に幕が降ろされているのではなく、暗転した真っ暗な舞台で行われるのだ。

そこは本当に暗黒の世界。なにせ非常階段の案内表示まで消されているんだから。よくあんな真っ暗な世界で設営できるものだと関心したなぁ・・・

・役者のセリフ量

今回は二人芝居。当たり前だが、たった二人で二時間の舞台を務める。圧倒的なセリフ量。ものの見事に入っている。ひとことのミスもなしに。少なくともボクにはそう見えた。相当な稽古を積んだんだろうなぁ・・・

・高橋和也さんの運動量

後半で男が、仕事である新聞配達の最中に家に立ち寄るシーンがある。庭で、設営された小屋の壁越しに女と会話する。その時に男は、逮捕された事件の様子を赤裸々に延々と話す。その話している最中ずっと走っているのだ。いや実際には前に進まずその場で駆け足をする。それも相当なスピードで、段々と加速度がついて、最後には全力疾走!!!御年50歳になろうとしている高橋さん。やっぱり役者は体力だ!これは南河内万歳一座の皆さんもそうだったなぁ・・・

 

といった感想ですが、もちろんストーリーも素敵!

特に後半の展開には感動する。

ピアノが話し、セリフが奏でる。そんな男と女のやりとりが見もの!!

 

4月1日が最終上演です。

もし興味が湧けば観に行ってください。

そして感想を聞かせてくださいね!

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