鳩と山羊のシーフードレストラン

VMDコンサルタントの藤井雅範(ふじいまさのり)です。

オープンしたてのレストランでの出来事

今日入ったレストランでのお話しです

 

そのお店は、今週オープンしたばかりの新しいファッションビルの中にある。

初めて迎える土曜日ということビルの中はたくさんのお客さんで賑わっています。

ボクがたまたま入ったのはシーフードレストラン。

入り口をくぐる時、お店のスタッフは誰も声をかけてくれませんでした。

ただ、1人の若い女性のスタッフが、落ち着きなくまるで公園をさまよう鳩のように、キョロキョロと首を左右に振っていました。

ボクはそのお店に入ったことを彼女に気づいてもらおうと、目を合わそうとしました。

おそらく彼女はボクのことに気づいていたと思います。

しかしどう声をかけて良いのかがわからなかったのでしょう。

ボクと目を合わせようとせず、おどおどと首を左右に振るばかり。

なんだかかわいそうに思えたのでボクの方から声をかけました。

『あの1人なんですけれども、良いですか?』

するとその声に気づいた別の男性スタッフが横からやってきて、ボクを席まで案内してくれました。

結局彼女はニコっとしてくれたものの、彼女に投げかけたボクの言葉は、引取られることなく居場所を失いました。

あとで男性のスタッフは彼女に対して、『自信なさそうな表情はしないでね!!』と言いました。

おそらく彼女の上司なんでしょう。

 

席についてランチを注文。

ガンボというアメリカ南部のシチューのような料理をオーダー。

見た目はまるで家庭で作ったカレーライスのようです。

食べてみるとカレーとは全く別物。

オクラをベースとしたとろみのあるソースにシーフードの旨味が染みこんでいるシチューです。

コーンスープにレタスのサラダにオクラのピクルス、他に緑色のペーストが添えられたランチ。

ボクはその緑色のペーストの使い方がわかりませんでした。

そこで、通りがかりの別の若い女性スタッッフに聞いてみることにした。

彼女の親しみのある表情は、まるで人のよい山羊をイメージさせました。

『このグリーンのペーストは何につけて食べるのですか?』とボクが聞くと、

『あのぅ、それはこのサラダに、いやこのピクルス、そうピクルスです・・・』

とっても自信なさげに且つ申し訳無さそうに彼女は言いました。

『あっ、分かりました』とボクは言った。

ホントはピクルスに掛けるペーストではないと思いましたが、なんだか可哀想になったのでそう答えておきました。

 

その後には、最初にお店に入る時の鳩のような女の子が、頼んでもいない牡蠣のカクテル(とても美味しそうでした)を持ってきてくれたり、ガンボを食べ終わったあとにまた別の女の子がスパゲティ(これも美味しそう)を持ってきてくれたり。

頼んでもいない料理を次から次へと運んできてくれた。

「おいおい、ボクはもうそんなに食べれないよ」と心のなかで言いました。

そして彼女は、しっかりと間違えた金額の伝票までテーブルに運んでくれた・・・

さてさてこのままココにいたら次はどんなことが起こるんだろう?

ちょっと興味深くなってそう思いました。

そのあとでまた上司らしき男性の声が聞こえてきた。

『持っていくあてのない料理をもってウロウロしないでね!!』とスパゲティの皿をもって彷徨っていた女の子に向かって。

 pasta

ボクは、仕事に慣れていない女の子がミスをしたとしても腹を立てたりはしません。

しかし、客の前で上司に怒られてる不慣れなスタッフの姿を見るのはちょっと嫌な気分になります。

なんだか、いたたまれない気持ちになりました・・・

最初が肝心です!

こういうことってよくありがちだなって、そう思いました。

特にオープンしたての商業施設でよく体験します。

そして、それってとてももったいないことだな、とも思いました。

オープンしたてのお店にくるお客様は新規のお客様です。

その時の対応次第で、将来の顧客になってくれる可能性のある人達。

そんな人がオープン景気で沢山沢山来てくれるのです。

ここで良い経験をすれば沢山の人が顧客になってくれるかもしれない。

ここで嫌な経験をすれば、二度と来てくれなくなるかもしれない。

だからオープン景気の時期ってとても大切。

これは飲食に限ったことではありません。

ファッションのお店でも言えることです。

新人スタッフは十分慣れてからオープン景気に臨んでもらう。

又は来店が少ない時期に他のスタッフが十分サポートしながら教育する。

それが理想。

『そんな悠長なこと言ってられない。忙しい時期だから新人を雇うんだよ!』そうおっしゃる経営者の方も多いと思います。

でもね、だからきっとオープン景気が落ち着いた時に売上が計画通り行かない、以前の売上が取れないって苦しむことになる。

お客様は一度嫌な思いをしたら、ただ黙って二度と来なくなる。

大方のお客様はクレームさえ言ってくれません。

黙って、二度と来なくなるのです。

たくさんお客様が来てくださる時期にミスが多いということは、うちの店は不十分なサービスのお店ですと宣伝しているようなもの。

だからそんな時期にこそ、しっかりとした接客を行って将来の顧客につなげることが大切。

目の前の沢山のお客様にその場しのぎの対応をすれば、将来的な損失も大きいのです。

 

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